ウォーリー。
ピクサー作品は長編よりもむしろ短編派なんですが、 このウォーリー、「メインキャラクターたちに台詞がない」という点で、 Luxo Jr.やfor the Birdsなど珠玉の名作短編に通じるものがありました。
コトバに頼ることなく、しかもロボットという限られたパーツのみで構成されたキャラクターをあれだけ表情豊かに見せられるっていう、ある意味アニメーションのお手本みたいな感じですね。
映像の美しさ、リアリティに関しては言わずもがな。
荒廃した地球の汚れ感、キレイに(言い方を替えればあえてCGっぽく)描かれた宇宙船内の対比がとても効果的。
特に今作、カメラワークや光学系のシミュレートに力を入れたとメイキングでは語られています。
物語もよく錬ってあるけれども、その「錬ってある感じ」をあんまり全面に出さないのがピクサー流ですよね。スッっとお話に入っていけるんです。
細かい伏線を上手く活かして笑いに繋げたりする手法なんかは、 日本でいう三谷幸喜作品に近いモノを感じます。過去作品へのオマージュも多いし。
中盤のハイライト、宇宙空間でのウォーリーとイヴのランデヴーもみどころですが、
個人的に泣けたのはやっぱりラスト、ウォーリーが「感情」を取り戻すシーン。
身振り手振りだけでなんであんなに泣けるんだろう。
エンドロールにJonathan Iveの名前がクレジットされてたので(もちろんSteve Jobsの名前もありましたよ)、
なんでかなって思って調べてみたら、 ヒロインEVEのデザインは彼が手がけたようです。
どうりでiPodっぽいカタチなわけだ。
ほか、ウォーリーが再起動するときの起動音がMacのそれだったり、
29世紀が舞台なのにiPodがちょくちょく顔を出したりと、
兄弟会社であるPIXARとAppleの関連性が窺えます。
ピクサー長編作品の中では一番オススメ、って言える映画かもしれません。